5時間講習
NYの車の免許の更新を忘れていて
取り直しになってしまったため、
前回NYに帰ってきた時に筆記を受け、仮免を取っていた。
今回は、路上試験を受ける前に、
再度5時間講習を受けにミッドタウンへ向かう。
寒くて、雨降りで、気が重い。
電話帳で見つけたこのdriving schoolは、
小さなドアを開けると目の前に狭くて傾いた階段。
すぐに2階へ上がる構造になっている古いアパートの一室だった。
“広告はでかかったくせに…”と
内心不安になりながら手続きを済まし、別室で授業を待つ。
ひげもじゃもじゃの先生が無言で新聞を読んでいる。
新聞から顔を上げようともしない。
生徒は、身体の大きな黒人の男の子と、
英語が全く解らないらしいイスラエル?(そこも聞き取れなかった)の男の子、
それからNYネイティブらしい韓国人の男の子と、私の計4人。
ぎしぎしと鳴る椅子、
ビー玉転がしたら絶対階段のほうへ転がっていってしまうであろう床。
まだアンテナがついている、小さなテレビ。
一旦授業が始まると、無愛想で単調だと思われたヒゲ先生は
説明が明快でテンポも良く、
高校の授業を受けている自分を思い出した。
5時間講習の内容は、
16歳で免許を取った時にも全く同じことを習ったはずなのに、
半分以上覚えていなかった。
様々なSTOPサインの意味ですら、覚えていなかった。致命的。
こんな状態で運転していたのか。
というかマンハッタンなんてほとんどの人がそんな感じだろう。
無法地帯のようなものだ。
一時間も経つと、
部屋のあかりがチカチカと一段暗くなったり元に戻ったりを繰り返すのも、
もう気にならなくなる。
もう30年くらい使われているであろう講習ビデオを何本か続けて観ている間、
先生はふらりとどこかへ行ってしまい、
たまに帰ってきてM&Msのディスペンサーから一握り出してはまた消えてしまう。
20分の休憩のうちに、3ブロック先のスターバックスまで走って行って
大きいモカを買って帰ってくる。
あと2時間これでもつか。
5時間講習の後半は、たっぷり2時間、飲酒運転について。
アメリカは筆記試験も講習も、70%くらいが飲酒運転について。
交通の他のルールなんておまけみたいな感じ。
どこ行ったって車で行って帰らなくてはいけないから、
それだけ日常生活から切り離せない、大問題なのだ。
夜10時半。講習が終わり、無事CERTIFICATEをもらい、
またとぼとぼとsubwayに乗って帰る。
誰も居ない車両はTWILIGHT ZONEのようでなんだかヒヤッとする。
早く猫のいるうちに帰りたい。
急ぎ足になる。
