空にぬける声
肌寒い季節に日比谷の野外音楽堂に来ると
どうしようもなく懐かしくなる。
毎年同じ季節に、訪れる。
前日からずっと雨だったのに
その時だけ願いが聞き入れられたかように晴れたり
野外ならではのしゃぼん玉が飛んだり
なによりもここで空にぬけていく声が好き。
始まりは明るかったのにだんだんと日が暮れてゆき
本編が終わる頃にはいつのまにか夜になっている
その過程をたっぷり音楽に浸かって過ごせるのも。
ライトに照らされて周りの緑が浮かび上がるのも。
公園を散歩している人にも聞こえているかな、と想像するのも。
日曜日なのに電気がついているビルを見て
誰か上からこの様子をのぞいていないかしら、と人影を探すのも。
そのうちいつのまにか足元のコンクリートから寒さが広がり
身体はしっかりと芯から冷えている。
コートを着込んで 白くなった息を確かめて
じわじわとその日をかみしめる。
音が染みていく。
Posted by miu at November 02, 2004