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おじいさん

電車に乗っていてボーッと風景を見ていたら、急に人が隣に座った風を感じた。
おじさんが私の右隣に座り、そして急に喋り始めた。
独り言ではなく、ごく自然に会話を始めた。
それは私に向けられた会話だと、おじさんのほうを見なくても分かるくらいごく自然に。
たぶん周りの人は もともと知り合いだったのかな、と思っただろう。
右となりを見ると、その人はおじさんではなくおじいさんだった。
若々しく、おじさんに近いおじいさん。

天気の話から始まったと思う。
まったくもって異常気象だよね、
昔はどんなに昼間暑くても夕方になればスーッと涼しくなったもんだよ、と。
この世の中はおかしくなっている、歪んできてるね…
そして、「明日は終戦記念日だ、だけどね、敗戦の日だと言うべきなんだ」と続けた。
「あの頃私は小学生だった・・・
防空壕を作れと言われたが、一尺掘れば水が出てきちゃう。
でも作らなくてはいけないから、無理矢理盛り土をしたんだ」と教えてくれた。
そしてさらに現代が歪んできているという話。
本当に心を痛めているということが伝わってきて、
もっともです その通りですよね、と思わずうんうん頷いていたけれど、
そのうちに、私が降りなくてはいけない駅についてしまったので、
降りる駅に着いてしまいました と言うと
あぁそう、と普通に答え 独り言のように
『こういうことね、考えて欲しいだけなんだよ』と言った。
私はもっと話していたかったけれど時間が迫っていたのでしょうがなく立ち、
また会えたらうれしいですという気持ちを込めて
『それでは、お元気で。』
と会釈して電車を降りた。

他にも席が空いていた中でスッと隣に座り、
まったく自然な空気のままそんなディープな話しを分かち合ってくれるなんて、
“振り向いたら、去っていく電車の中にはそのおじいさんの姿はなく…”
という展開でも驚かないかもしれないくらい、
なんだかフッと異次元に連れて行かれた気がした。

shoutengai.jpg
商店街。携帯より

Posted by miu at September 06, 2004
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